学会誌

学会誌

更新日 2025年5月30日

看護理工学会誌 J-STAGE (Online ISSN : 2432-6283)

お知らせ

看護理工学会誌 査読方式変更について

看護理工学会 編集委員会

看護理工学会誌は、これまでダブルブラインド方式(著者、査読者双方を匿名化した査読方式)で査読を行っておりました。しかしながら、インターネットでの論文等の検索が容易になり、匿名性の厳密な保持が事実上困難になっていることを鑑み、この度、査読方式をシングルブラインド方式に変更することとなりました。
シングルブラインド方式は、著者情報が査読者に開示された状態で査読を行う方式です。査読者の情報はこれまで通り著者には開示されません。
シングルブラインドでの査読は、10月以降の投稿論文から開始となります。それ以前に投稿されている論文については、これまで通りダブルブラインドでの査読となります。
ご投稿される皆様におかれましては、10月1日(火)以降のご投稿は査読者に著者情報が開示された状態での査読となりますのでご了承下さい。
学会誌へのご投稿をお待ちしております。

9月30日(月)までに投稿された論文 ダブルブラインド方式での査読を継続
10月1日(火)以降に投稿された論文 シングルブラインド方式での査読

2024年9月18日

看護理工学会誌では新たに迅速査読制度の運用を開始しました。
学生会員の学位取得や、日本学術振興会の特別研究員への応募を支援するために、投稿を受理してからおおむね2週間以内に査読結果を通知いたします。また、迅速査読の申し込みに当たり、追加料金は発生しません。
なお、詳細は2021年9月26日改定の投稿規定をご覧ください。

看護理工学会誌12巻を発行しました。(2025/5/30)
看護理工学会誌11巻を発行しました。(2024/7/31)
看護理工学会誌10巻Supplement号(特集号)を発行しました。(2023/8/31)
看護理工学会誌9巻Supplement号(特集号)を発行しました。(2022/9/30)

J-Stageでのパスワード等の入力が不要になりました。また、どなたでもすぐに論文全文を読めるようになりましたので、論文を投稿される方におかれましても、研究成果の一般公開のタイムラグがなくなりました。これを機に是非ご投稿ください。(2019/1/31)

看護理工学会誌は第6巻より電子版のみ(J-Stage)発刊されます。(2018-09-08)

投稿について

看護理工学会では、皆様からのご投稿をお待ちしています。

看護理工学会誌 最新論文

原著

新生児の沐浴における実施者の姿勢の分析 ~家庭内浴室の実験より~

大西 彩友美 ほか | P.220

新生児の沐浴における実施者の姿勢の分析 ~家庭内浴室の実験より~

著者

大西 彩友美1 齋藤 いずみ2 和泉 慎太郎3

所属

  1. 神戸大学大学院保健学研究科博士課程前期課程
  2. 神戸大学大学院保健学研究科
  3. 神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科

要旨

新生児の沐浴は浴室の洗い場で最も行われており,負担が大きい育児の1つである.本研究は,沐浴実施者の体幹の前傾角度・脊柱の弯曲(脊柱の後弯姿勢)と主観的負担度から,負担の少ない沐浴姿勢を検討することを目的とした.対象者25名をしゃがみ姿勢と風呂椅子姿勢との2群に分けた.モーションキャプチャシステム,質問紙を使用し,体幹の前傾角度,脊柱の弯曲,主観的負担度を調査した.体幹の前傾角度・脊柱の弯曲は,風呂椅子姿勢群が有意に大きかった.しゃがみ姿勢群では,脊柱の弯曲が強いほど腰の負担が増加する傾向を認めた.風呂椅子姿勢群では,腰部が前傾するほど腰の負担が増加する傾向を認めた.沐浴において,負担が少ない姿勢は体幹の前傾や脊柱の弯曲(後湾)がない姿勢であると推察する.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    新生児の育児技術の1つである沐浴動作の身体的負担に着目した.腰痛などの身体的負担の解消を目的として,一般的な家庭の浴室内における沐浴姿勢の分析を行った.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    本研究で示した沐浴姿勢の分析から,身体的負担を軽減させる沐浴姿勢の定量的評価が可能となった.また,将来的には保健指導への応用や沐浴における補助具の開発に貢献できると考えられる.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    筋負荷の評価や多様な姿勢での実験を加え,より多角的に沐浴時の負担を定量評価する必要がある.

キーワード

沐浴姿勢,腰の負担,体幹の前傾角度,脊柱の後弯,モーションキャプチャ

Analysis of the performer’s posture in bathing of newborn babies: A home bathroom experiment

Author(s)

Ayumi Onishi1 Izumi Saito2 Shintaro Izumi3

Affiliation

  1. Kobe University Graduate School of Health Science Master’s Course
  2. Kobe University Graduate School of Health Science
  3. Kobe University Graduate School of Science, Technology and Innovation

Abstract

Bathing is a routine childcare activity often performed in bathroom washing areas. However, it can cause significant strain on the body. This study aimed to identify bathing postures that are less burdensome on the lower back by using an anterior tilt of the trunk angle, kyphosis posture of the spine, and subjective burden as indicators. Twenty-five subjects were divided into two groups: those adopting squatting postures and those using bathchairs. We employed a motion capture system and a questionnaire to assess the anterior trunk-tilt angle, kyphosis posture of the spine, and burden experienced in each posture. The anterior trunk-tilt angle and kyphosis posture of the spine are remarkably greater in the bathchair posture group. In the squatting group, the stronger the kyphosis posture of the spine, the more significant is the back burden. In the bathchair posture group, the more anterior the trunk-tilt angle, the more significant is the back burden. The findings of this study suggest that the posture with the least burden is one without an anterior tilt of the trunk angle or kyphosis posture of the spine.

Keyword

bathing posture, back burden, angle of forward tilt of trunk, kyphosis of the spine, motion capture

英語論文

Characterization of the autonomic nervous system activity in females classified by mood scores during the follicular phase(卵胞期の気分スコアによって分類された女性の自律神経活動の特徴)

青木 真希子 ほか | P.230

卵胞期の気分スコアによって分類された女性の自律神経活動の特徴

著者

青木 真希子1,2 西村 舞3 鈴木 雅登4 寺澤 瑛利子5,6 岡山 久代2

所属

  1. 神奈川工科大学保健看護学部
  2. 筑波大学医学医療系
  3. かがやき保育園
  4. 兵庫県立大学大学院理学研究科
  5. 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
  6. 筑波大学大学院人間総合科学研究科

要旨

われわれはこれまでに,卵胞期に得られた気分スコアに基づき特徴的な気分分布をもつ2群への分類を報告した.そしてこの気分分布によって非PMS群とPMS群が分類できることを示した.そこで本研究では,招集時期や場所がまったく異なる類似の年代の集団を対象に,気分スコアによって被験者群を2つに分類し,気分スコアによる分類の再現性を検証した.続いて,分類された被験者の自律神経系(ANS)活動を耳たぶ脈波装置で評価した.参加者は先行研究と同様にクラスターⅠ(非常に前向きな気分)とⅡ(低気分)に分類され,気分スコアによって2群に分類できた.クラスターⅡの参加者は,卵胞期から月経期にかけて有意ではないものの副交感神経系活動が低下した(p=0.11)。これはクラスターⅡの参加者がPMS症状をもつ可能性を示唆する.卵胞期における気分指標がPMSの簡便な自己評価手段として利用できる可能性が示された.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    本研究は,黄体期の心身の不快感(PMS)の診断に必要な長期間にわたる自己記録の,簡便・迅速化をテーマにしている.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    将来的に,卵胞期に1回・30分の計測でPMSを予測する.すべての女性にPMSに対処する時間・精神的余裕を提供することに貢献する.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    被験者に対して非拘束に気分状態や自律神経活動を客観的に計測できる技術.

キーワード

月経前症候群,卵胞期,POMS2,Ward法,自律神経活動

Characterization of the autonomic nervous system activity in females classified by mood scores during the follicular phase

Author(s)

Makiko Aoki1,2 Mai Nishimura3 Masato Suzuki4 Eriko Terasawa5,6 Hisayo Okayama2

Affiliation

  1. Faculty of Health and Medical Sciences, Kanagawa Institute of Technology
  2. Institute of Medicine, University of Tsukuba
  3. Kagayaki Nursery School Tsukuba
  4. Graduate School of Science, University of Hyogo
  5. Department of Health Sciences, Graduate School of Medicine, Osaka University
  6. Graduate School of Comprehensive Human Sciences University of Tsukuba

Abstract

Many sexually mature females suffer from premenstrual syndrome (PMS); however, effective coping methods for PMS are limited owing to the heterogeneity of symptoms and unclear pathogenesis. Our research goal was to establish a convenient and simple method to make an individual aware of their own psychological and autonomic conditions. In a previous study, we demonstrated that participants could be classified into the non-PMS and PMS groups based on mood scores obtained during the follicular phase. This study aimed to classify participants based on their response scores to a mood questionnaire during the follicular phase and evaluate their autonomic nervous system (ANS) activity using a simple device that measures pulse waves from the earlobe. Participants were grouped into Clusters I (highly positive mood) and II (low mood). Cluster II participants decreased parasympathetic nervous system activity, although not significantly (p=0.11), from the follicular to the menstrual phase. This may indicate that participants in Cluster II exhibited PMS symptoms. This study demonstrates the feasibility of using mood scores to classify individuals into PMS and non-PMS groups and to monitor ANS changes across menstrual phases. Despite limitations, such as sample size and device variability, the findings highlight a promising avenue for convenient PMS self-monitoring.

Keyword

premenstrual syndrome, follicular phase, POMS2, Ward method, autonomic nervous activity

英語論文

Reliability of inferior vena cava images visualized by self-monitoring echocardiography(セルフモニタリング心エコーで描出した下大静脈径の信頼性)

大橋 史弥 ほか | P.240

セルフモニタリング心エコーで描出した下大静脈径の信頼性

著者

大橋 史弥1 賀田野 正汰1,2 宮 英里奈1,2 木森 佳子1,3 松井 弘樹4 藤野 陽5 紺家 千津子1

所属

  1. 石川県立看護大学看護学部
  2. 金沢大学附属病院看護部
  3. 公立小松大学保健学部看護学科
  4. 群馬大学大学院保健学研究科検査科学
  5. 金沢大学大学院医学研究科循環器内科学

要旨

目的:本研究は,心エコーやセルフモニタリング心エコー(SMEC)走査に関する教育を受けていない看護学生と大学院生が描出した下大静脈(IVC)の最大径・最小径の信頼性を検証することを目的とした.方法と結果:参加者は,SMECに関するビデオ教材視聴後に,IVCの最大径・最小径を描出した.下大静脈の描出・読影に熟練した研究者が,参加者のIVCを同一条件下で描出した.参加者と研究者が描出したIVC画像を盲検化したあと,研究者はIVCの最大径・最小径を計測し,信頼性を評価した.評価には,クラス内相関係数(ICC)と,Bland-Altman分析を使用し加算誤差と比例誤差の有無を判定した.参加者が描出した画像はIVCであり,計測に必要な要件を満たしていた.ICC(2,1)は,最大径と最小径で0.984と0.981であった.最大径と最小径のどちらにも,加算誤差と比例誤差はみられなかった.結論:看護学生と大学院生は,SMECに関する簡単な教育を受けることで,高い信頼性でIVCを描出できることを示唆している.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    在宅で過ごす慢性心不全療養者が,心機能増悪徴候を反映する下大静脈の変動を自ら携帯型エコーを用いて描出することを基盤としたセルフケア支援システムを確立したいと考えた.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    慢性心不全療養者の心機能増悪徴候の発見に寄与する.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    慢性心不全療養者が自身の下大静脈を描出するまでのガイドや,自動心機能評価の結果に応じたセルフケアリコメンデーションの実現に向けた技術が必要になる.

キーワード

セルフ心エコー,下大静脈,信頼性,心不全

Reliability of inferior vena cava images visualized by self-monitoring echocardiography

Author(s)

Fumiya Oohashi1 Shota Katano1,2 Erina Miya1,2 Keiko Kimori1,3 Hiroki Matsui4 Noboru Fujino5 Chizuko Konya1

Affiliation

  1. School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  2. Department of Nursing, Kanazawa University Hospital
  3. Faculty of Health Sciences, Department of Nursing, Komatsu University
  4. Department of Laboratory Sciences, Gunma University Graduate School of Health Science
  5. Department of Cardiovascular Medicine, Kanazawa University Graduate School of Medical Sciences

Abstract

Aim: This study aimed to verify the reliability of inferior vena cava (IVC) diameter visualization by recruiting nursing and graduate students with no experience in echocardiographic scanning or education on self-monitoring echocardiography (SMEC) before watching the video material. Methods and Results: Participants visualized their IVC diameters after watching video material on SMEC. A skilled researcher, experienced in conducting the procedure, visualized the participants’ IVCs under identical conditions. After blinding the visualized IVC images to the participants and researcher, the researcher measured the maximum and minimum IVC diameters and viewed and compared the IVC images to evaluate their IVC visualization and measurement success rate. Intraclass correlation coefficients (ICCs) were calculated, and Bland–Altman analysis was used to determine the presence or absence of addition and proportional errors. The IVC was recognized in the echocardiography images visualized by the participants and met the measurement requirements. The ICC (2,1) values were 0.984 and 0.981 for the maximum and minimum IVC diameters, respectively. Additive and proportional errors were not observed for either maximum or minimum IVC diameter. Conclusion: Our results suggest that nursing and graduate students can visualize the IVC with high reliability after watching video materials related to SMEC created in this study.

Keyword

self-monitoring echocardiography, inferior vena cava, reliability, heart failure

速報

医療・介護施設におけるコミュニケーションロボット継続活用の要因―継続活用群と非活用群の職員に対するアンケート調査―

藤井 崇敬 ほか | P.250

医療・介護施設におけるコミュニケーションロボット継続活用の要因 -継続活用群と非活用群の職員に対するアンケート調査-

著者

藤井 崇敬1 武智 尚子2 松田 健3 前川 泰子4

所属

  1. 摂南大学看護学部
  2. 香川大学医学部看護学科
  3. 阪南大学総合情報学部
  4. 関西福祉大学看護学部

要旨

本研究は,医療・介護施設職員のコミュニケーションロボット(以下,C.ロボット)活用の実態と継続活用に関連する要因を明らかにすることを目的とし,C.ロボットを所有する医療・介護施設で働く44名の職員へのアンケート調査の結果を分析(Fisherの正確確率検定,対応分析など)した.その結果,C.ロボット導入後,約6割で十分に活用されていない実態があった.C.ロボットの継続活用との関連要因として,「職業的自尊心が高い」「患者・療養者とC.ロボットの特性のマッチングが困難」「音声や外観」「患者・療養者とC.ロボットの間で職員による仲介が必要である」「業務負担を軽減できるC.ロボットの導入への期待」などが抽出された.これらから,患者・療養者とC.ロボットの特性のマッチングが困難である場合や患者・療養者とC.ロボットの間で仲介を必要とすることが職員の負担となり,C.ロボットを活用しない要因になることが示唆された.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    病院・介護施設においてコミュニケーションロボット(以下,C.ロボット)による活用効果が認められているが,十分に活用されていない現状を受け,本研究では,C.ロボットの活用実態とその継続活用に関連する要因を明らかにした.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    病院・介護施設職員,患者・療養者,療養環境に適したC.ロボットを明らかにすることで,継続的な活用につながり,職員の負担軽減や患者・療養者のコミュニケーション支援などが期待される.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    患者・療養者のニーズに応じた個別対応が可能なAI技術や,職員の負担を軽減する自動化機能の開発が求められる.

キーワード

コミュニケーションロボット,活用要因,対応分析,継続活用

Factors influencing the continued use of communication robots in medical and nursing facilities: A questionnaire survey of staff in continued-use and non-use groups

Author(s)

Takayuki Fujii1 Naoko Takechi2 Takeshi Matsuda3 Yasuko Maekawa4

Affiliation

  1. Faculty of Nursing, Setsunan University
  2. School of Nursing, Faculty of Medicine, Kagawa University
  3. Faculty of Information Sciences, Hannan University
  4. Faculty of Nursing, Kansai University of Social Welfare

Abstract

This study clarifies the actual utilization of communication robots (C. robots) by staff in medical and care facilities and the factors related to their continued use. Accordingly, a questionnaire survey was conducted among 44 staff members working in medical and care facilities that own C. robots, and the results were analyzed using methods such as Fisher’s exact test and correspondence analysis. Approximately 60% of the facilities were not adequately utilizing C. robots after their introduction. Factors related to the continued use of C. robots included“high professional self-esteem among staff”,“difficulty in matching the characteristics of patients or residents with those of C. robots”,“voice and appearance”,“the need for staff to mediate interactions between patients or residents and C. robots”, and“expectations for C. robots to reduce workload”. These results suggest that when it is difficult to match the characteristics of patients or residents with those of C. robots, or when staff mediation is required for interactions, the resulting burden on staff becomes a factor leading to the underutilization of C. robots.

Keyword

communication robot, utilization factors, correspondence analysis, continued use

英語論文

Optimization of the liquid-phase method for skin blot samples(スキンブロットサンプル液相化法の最適化)

大貝 和裕 ほか | P.261

スキンブロットサンプル液相化法の最適化

著者

大貝 和裕1 長谷川 陽子1 加藤 克典2 瀧澤 理穂3 額 奈々3 今方 裕子3 大西 陽子3 松本 智里3 松本 勝3,4 臺 美佐子3 紺家 千津子3 真田 弘美5 峰松 健夫3

所属

  1. 石川県立看護大学大学院看護学研究科共同研究講座看護理工学
  2. 石川県立看護大学大学院看護学研究科看護学専攻成人看護学分野
  3. 石川県立看護大学成人・老年看護学講座成人看護学
  4. 石川県立看護大学大学院看護学研究科共同研究講座ウェルビーイング看護学
  5. 石川県立看護大学

要旨

非侵襲的な皮膚評価法であるスキンブロッティングの臨床応用に向けた液相化法が提案されているが,処理の長さ(1時間)と界面活性剤濃度の高さ(1%)が臨床応用上の問題である.本研究では,液相化法の時間と界面活性剤濃度の最適化を目的とした.液相化時間(1時間,5秒)と界面活性剤濃度(1%,0.3%,0.2%,0.1%)それぞれの条件で,5種類のタンパク質の回収量を比較した.その結果,時間による有意差は認められなかった.界面活性剤1%と比較して0.3%と0.2%では有意差は認められなかったが,オボアルブミンの修飾変化が示唆された.一方,0.1%ではウレアーゼとオボアルブミンが有意に低下したが(おのおのP <0.01,P =0.024),オボアルブミンの変化は微小であった.このことから,液相化には5秒で十分であり,タンパク質の修飾変化防止には0.1%,回収量重視の場合は0.2%の界面活性剤が最適であると考えられた.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    寝たきりなどで皮膚が体重により圧迫され,血流障害が起こると褥瘡が生じる.初期は発赤にとどまるが,悪化すると開放創となり,患者の不快感や疼痛,創感染による治癒遅延などの問題を引き起こすので,開放創に悪化する発赤を予測できないかと考えた.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    本研究成果を応用することで将来,褥瘡がまだ発赤段階のうちに,その悪化リスクをベッドサイドで迅速かつ簡便に評価できるようになり,ひいては褥瘡悪化予防のための最適なケア選択が可能となることが期待される.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    イムノクロマトやナノフォトニクスなどを用いた,サンプル中に含まれるタンパク質の短時間同定・定量法の開発や,前処理から分析,ケアリコメンデーションまでを自動で行える小型装置の開発が必要となる.

キーワード

スキンブロッティング,タンパク質,液相化,最適化

Optimization of the liquid-phase method for skin blot samples

Author(s)

Kazuhiro Ogai1 Yoko Hasegawa1 Katsunori Kato2 Riho Takizawa3 Nana Nuka3 Yuko Imakata3 Yoko Onishi3 Chisato Matsumoto3 Masaru Matsumoto3,4 Misako Dai3 Chizuko Konya3 Hiromi Sanada5 Takeo Minematsu3

Affiliation

  1. Department of Bio-engineering Nursing, Graduate School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  2. Department of Adult Nursing, Graduate School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  3. Department of Adult Nursing, Faculty of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  4. Department of Well-being Nursing, Graduate School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  5. Ishikawa Prefectural Nursing University

Abstract

A liquid-phase method has been proposed for clinical application of skin blotting, a non-invasive skin evaluation method. However, this method is time-consuming (1 h) and requires high detergent concentrations (1%), limiting its application. The present study aimed to optimize the time and detergent concentration of the liquid-phase method. The amount of protein recovered was compared under different conditions: detachment time set at 1 h or 5 s and detergent concentration set at 1%, 0.3%, 0.2%, and 0.1%. The results showed no significant difference in the amount of protein recovered between 1 h and 5 s of detachment. Although no significant difference was observed in the amount of protein recovered with 0.3% and 0.2% detergent concentrations compared with that recovered with 1% detergent concentration, a change in the modification of ovalbumin was observed. Conversely, the recovered amounts of urease and ovalbumin were significantly reduced (P <0.01 and P =0.024, respectively) at 0.1% detergent concentration; however, the modification of ovalbumin was minimal. Taken together, 5 s of detachment was sufficient for the liquid-phase method, 0.1% detergent concentration was optimal for preventing protein modification, and 0.2% detergent concentration was optimal for protein recovery.

Keyword

skin blotting, protein, liquid phase, optimization

実践報告

初学者を対象とした非対面での直腸エコー教育による技術習得度に対する効果検証:対面教育・遠隔ライブ教育・オンデマンド教育の比較

今村 魁星 ほか | P.268

初学者を対象とした非対面での直腸エコー教育による技術習得度に対する効果検証:対面教育・遠隔ライブ教育・オンデマンド教育の比較

著者

今村 魁星1 松本 勝2,3 加藤 克典4 大西 陽子3 額 奈々3 峰松 健夫3 紺家 千津子3

所属

  1. 石川県立看護大学看護学部看護学科
  2. 石川県立看護大学大学院看護学研究科共同研究講座ウェルビーイング看護学
  3. 石川県立看護大学成人・老年看護学講座成人看護学
  4. 石川県立看護大学大学院看護学研究科成人看護学分野

要旨

【目的】本研究では,非対面教育媒体としてオンライン会議システムおよびオンデマンド動画教材を活用した非対面での直腸エコー教育プログラムを開発し,初学者が対面での教育に劣らない教育効果を得ることができるか検証した.【研究方法】対象者を対面群,非対面群(遠隔ライブ群,オンデマンド群)に分け,それぞれ計30分のプログラムを受講した.受講後の技術習得度の評価のため,エコーを用いた直腸便貯留の観察に対する画像の撮影・読影の技術についての点数を算出し,3群間の比較を行った.加えて受講後の主観を評価した.【結果】撮影技術では,いずれの対象者も満点であった.また,自身の撮影・読影技術の点数および主観評価には,3群間に有意差はなかった.【結論】約30分間で直腸エコー技術を習得できる教育プログラムを開発した.非対面教育でも対面教育に劣らない撮影・読影の技術に対する教育効果,主観が得られることが明らかになった.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    高齢者の便秘評価に直腸エコーが活用されるなか,新興感染症流行で非対面教育の必要性が高まったため,本研究を実施した.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    非対面での直腸エコー教育プログラム活用により,地理的・時間的な制約を受けることなく,より多くの人が学習できる環境が整う.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    virtual realityやartificial realityを活用した遠隔教育を導入し,初心者が直腸エコー技術を効率よく学べる環境を整備することが求められる.

Effect of non-face-to-face rectal ultrasound education for beginners on skill acquisition: A comparison of face-to-face, live distance, and on-demand education

Author(s)

Kaisei Imamura1 Masaru Matsumoto2,3 Katsunori Kato4 Yoko Onishi3 Nana Nuka3 Takeo Minematsu3 Chizuko Konya3

Affiliation

  1. School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  2. Department of Well-being Nursing, Graduate School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  3. Department of Adult Nursing, Faculty of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University
  4. Department of Adult Nursing, Graduate School of Nursing, Ishikawa Prefectural Nursing University