学会誌

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更新日 2024年12月26日

看護理工学会誌 J-STAGE (Online ISSN : 2432-6283)

お知らせ

看護理工学会誌 査読方式変更について

看護理工学会 編集委員会

看護理工学会誌は、これまでダブルブラインド方式(著者、査読者双方を匿名化した査読方式)で査読を行っておりました。しかしながら、インターネットでの論文等の検索が容易になり、匿名性の厳密な保持が事実上困難になっていることを鑑み、この度、査読方式をシングルブラインド方式に変更することとなりました。
シングルブラインド方式は、著者情報が査読者に開示された状態で査読を行う方式です。査読者の情報はこれまで通り著者には開示されません。
シングルブラインドでの査読は、10月以降の投稿論文から開始となります。それ以前に投稿されている論文については、これまで通りダブルブラインドでの査読となります。
ご投稿される皆様におかれましては、10月1日(火)以降のご投稿は査読者に著者情報が開示された状態での査読となりますのでご了承下さい。
学会誌へのご投稿をお待ちしております。

9月30日(月)までに投稿された論文 ダブルブラインド方式での査読を継続
10月1日(火)以降に投稿された論文 シングルブラインド方式での査読

2024年9月18日

看護理工学会誌では新たに迅速査読制度の運用を開始しました。
学生会員の学位取得や、日本学術振興会の特別研究員への応募を支援するために、投稿を受理してからおおむね2週間以内に査読結果を通知いたします。また、迅速査読の申し込みに当たり、追加料金は発生しません。
なお、詳細は2021年9月26日改定の投稿規定をご覧ください。

看護理工学会誌12巻を発行しました。(2024/12/26)
看護理工学会誌11巻を発行しました。(2024/7/31)
看護理工学会誌10巻Supplement号(特集号)を発行しました。(2023/08/31)
看護理工学会誌9巻Supplement号(特集号)を発行しました。(2022/09/30)

J-Stageでのパスワード等の入力が不要になりました。また、どなたでもすぐに論文全文を読めるようになりましたので、論文を投稿される方におかれましても、研究成果の一般公開のタイムラグがなくなりました。これを機に是非ご投稿ください。(2019/1/31)

看護理工学会誌は第6巻より電子版のみ(J-Stage)発刊されます。(2018-09-08)

投稿について

看護理工学会では、皆様からのご投稿をお待ちしています。

看護理工学会誌 最新論文

原著

英語論文

Validation of the estimation method of nurses. movement lines in an unattended time study using beacons and mobile devices(ビーコンとモバイル端末を用いた無人タイムスタディにおける看護業務動線推定手法の精度検証)

仲島 圭将 ほか | P.34

ビーコンとモバイル端末を用いた無人タイムスタディにおける看護業務動線推定手法の精度検証

著者

仲島 圭将1 井上 文彰2 福重 春菜3 石井 豊恵3

所属

  1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報学
  2. 大阪大学大学院工学研究科電気電子情報通信工学専攻
  3. 神戸大学大学院保健学研究科看護学領域

要旨

本稿では,業務動線を動画として可視化するソフトウェアフレームワークの活用促進を目的として,そのフレームワークで用いられている,ビーコンとモバイル端末を用いた無人タイムスタディにおける業務動線推定手法の精度検証を行った.大規模急性期病院の外科病棟においてパイロット実験を実施し,動線推定手法におけるパラメータ設定が位置推定精度に与える影響を評価した.特に,閾値フィルタリングにおいて,F値に基づく最適閾値決定手法を提案し,従来の探索的な閾値決定手法と比較することで,従来手法を用いた場合においても十分に高い精度で位置推定できることを示した.さらに,業務動線の推定精度に加えて,入退室のタイミングや滞在時間の誤差(時間解像度)についても検証した.この結果,看護現場の実態把握と労働環境改善に向けた客観的データに基づく業務分析において,可視化フレームワークが実用的であることが示された.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    テーマ:簡便な看護業務量調査と客観的・量的データを活用した業務改善の実現.
    きっかけ:簡便な業務量調査の実用性を示すことで,病院施設での活用を促進できるのではと考えたこと.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    業務改善やICT機器の導入などのイベント前後における業務量や業務動線の違いを客観的に比較できるようになる.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    詳細な業務内容まで考慮した分析を行うためには,看護に特化した大規模言語モデルが必要になる.

キーワード

精度検証,無人タイムスタディ,ビーコン,看護業務動線,F値

Validation of the estimation method of nurses’ movement lines in an unattended time study using beacons and mobile devices

Author(s)

Keisuke Nakashima1 Yoshiaki Inoue2 Haruna Fukushige3 Atsue Ishii3

Affiliation

  1. Department of Medical Informatics, Graduate School of Medicine, Osaka University
  2. Department of Information and Communications Technology, Graduate School of Engineering, Osaka University
  3. Department of Nursing, Graduate School of Health Sciences, Kobe University

Abstract

To improve the work environment, nursing managers need to understand the actual conditions and analyze objective data on nurses’ workloads and movement lines obtained from long-term surveys. In this paper, we aim to validate an accuracy of a method for estimating nurses’ movement lines in an unattended time study using beacons and mobile devices and discuss the practicality of the visualization software framework using the estimation method. To do so, a pilot experiment was conducted in a surgical ward of a large acute care hospital. To evaluate the impact of parameter settings on estimation accuracy, we proposed a new approach for determining optimal thresholds based on the F-measure. By comparing the proposed optimization-based and conventional heuristic approaches, we demonstrate the effectiveness of the heuristic approach in achieving the high accuracy of position estimation. After that, we validated the high accuracy of movement lines estimated by the heuristic approach. Error evaluation for entering/leaving timing and staying periods showed that the method has a time resolution of a few seconds. Results suggest that the framework enables nursing managers to easily capture nurses’ movement lines throughout the ward and analyze them qualitatively to improve nursing workflows.

Keyword

accuracy validation, unattended time study, beacon, nurses’ movement line, F-measure

英語論文

Research on the impact of cross slopes in wheelchair assisted running(車椅子介助走行における横断勾配の影響に関する研究)

佐野 博一 ほか | P.54

車椅子介助走行における横断勾配の影響に関する研究

著者

佐野 博一1 楊箸 隆哉2

所属

  1. 医療創生大学大学院理工学研究科物質理工学専攻
  2. 医療創生大学大学院生命理工学研究科

要旨

高齢化社会では,車椅子利用者が増加し続けており,介助の必要性が高まっている.しかし,横断勾配が車椅子の走行軌跡に与える影響に関する研究は不足している.われわれは,横断勾配が介助者の上肢筋活動,車椅子を握る際の力,車椅子の軌跡に与える影響を測定する実験を行った.介助者役として,10人の健康な参加者に,5mの実験路に沿って乗車者を乗せた車椅子を走行させた.横断勾配は0%,2%,5%の3種類とした.横断勾配を増加させると,下り坂側の前腕屈筋と上り坂側の前腕伸筋の活動,および車椅子を握る際の力が有意に増加した.さらに,車椅子の軌跡の変動係数は,5%の横断勾配でほかの横断勾配よりも有意に増加した.これらの結果は,車椅子の介助者は,特に横断勾配が増加するにつれて,横断勾配を扱うためにおもに前腕を使用していることを示唆している.この研究は,車椅子の介助者が横断勾配を効果的に扱えるよう訓練するのに役立つ.

キーメッセージ

  1. 今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
    研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
    車椅子介助に関する教育や講習などで,横断勾配への対応についてはほとんど触れられていない.
  2. この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
    車椅子介助におけるスロープ対応についての新たな基準や,ガイドラインの策定に寄与できる.
  3. 今後どのような技術が必要になるのか?
    スロープ走行時の車椅子走行軌跡の偏位をモニタリングし,介助者にフィードバックする技術.

キーワード

車椅子,介助走行,横断勾配

Research on the impact of cross slopes in wheelchair assisted running

Author(s)

Hiroichi Sano1 Ryuya Yanagihashi2

Affiliation

  1. Graduate School of Science and Engineering, Iryo Sosei University
  2. Graduate School of Life Science and Technology, Iryo Sosei University

Abstract

In aging societies, the number of wheelchair users continues to rise, which in turn has increased the need for caregivers to provide assistance. However, research on the effects of cross slopes on wheelchair running trajectories has been lacking. We carried out experiments to measure the effects of cross slopes on the upper-limb muscle activity of caregivers, strength when gripping the wheelchair, and the wheelchair trajectory. To act as caregivers, 10 healthy participants were asked to drive wheelchairs carrying passengers along a 5-m-long experimental track. Three cross slopes were tested: 0%, 2%, and 5%. Increasing the cross slope significantly increased the activities of the forearm flexor muscles on the downslope side and extensor muscles on the upslope side, as well as the strength when gripping the wheelchair. In addition, the coefficients of variation for the wheelchair trajectory were significantly higher on the 5% cross slope than on the other cross slopes. These results suggest that wheelchair caregivers mainly use their forearms to handle cross slopes, especially as the cross slope increases. This study can help with training wheelchair caregivers to effectively handle cross slopes.

Keyword

wheelchair, assisted running, cross slopes